ここは東京。

人間がコンピューターに勝てなくなってから、もう随分と経つけれど、僕は今だにその現実を認められそうにないし、向き合えないでいる。

数年前のDreamhackという、お祭り的なゲームイベントにおいて、プロゲーマーvsコンピューターがコンピューターの圧勝に終わってから、僕たちは随分と大人になったよね。

 

ここは東京。「見る」ゲームとしての娯楽を提供していたE-sportsというビジネスにおいては、「上手いゲームプレイが見たいのなら人間を見る必要はない」という常識が蔓延っている。

 

僕たちを熱狂の渦へと飲み込み、時に僕たちを励まし、時に僕たちを、誰がどこにいく、誰が引退するなんてニュースで一喜一憂させていたビデオゲームの祭典は、プロゲーマーvsプロゲーマーというのが常識だったのも今は昔、AIを開発している企業同士が争いあう、それはとても単調で、それはとても機械的な、何が面白いのかもわからない、けれども確かに神技的なゲームプレイを、今日もインターネットの放送で僅かな視聴者数を集めながら、ひっそりと続いている。

 

かつて、僕たちは子供だった。

 

15歳の少年の才能を、大人が見抜いてプロとしての道を歩まさせる。

報われなかったその他大勢の子供たちの期待と熱と共に。

約1割の、想像を絶するような努力に努力を重ねた15歳の少年の努力は、ついに報われる時がきたと言わぬばかりに、そのステージの上で行われている、華麗で、鮮やかで、そして大胆な、時に息を飲むようなゲームのプレイを、僕たちはただ、座って眺めていた。

けれども、あの時代のE-sportsっていうのは、そういうものだった。

 

ただ僕たちは座って、ただ、眺めていた。けれども今からでは、考えられないような熱がそこには確かに存在していた。

 

あの日、僕たちはまだ子供だった。

 

わがままで、自己中心的で、口も態度も悪い。でも、ゲームでは誰よりも強い子供たちに、大人は黙って、笑いながら、時に真剣に引っ張られ、振り回された。

 

僕が子供だった頃の、ビデオゲームっていうのは、そういうものだった。

 

 

あの日からはもう随分と経ち、僕たち子供は大人になった。

 

15歳の少年は、国の法律で入隊し兵士になった。少しずつ、僅かながら、少しずつ熱の失われていくe-sports業界において、引退を余儀なくされたプロゲーマー達も、最後に一言"Goodbye :)"と笑って消えた。

 

ここは東京。情熱の存在しない、退屈でつまらないビデオゲームの大会を、あの時とちょうど同じように、僕はまた、ただ座って眺めてる。